アカネは、夕焼けと朝焼けの茜色を指す。
夕焼け。夜が来る。
仕事や学校が終わり、家路につく時間。

その前に、同僚や学友たちと街へ繰り出す人たちもいるだろう。
家族の団欒、恋人たちの営み、
仲間たちとのばかばかしくも楽しい会話。

だがやがて太陽が昇る。
朝焼けである。

そうなると、夜は無に帰してしまう。
夜は束の間のものでしかなく、一日が始まると、
私たち人間は仕事や学校へ出かけなければならない。
もちろん昨日抱えた悩みや問題は解決しているわけではなく、
それでも新しい一日に立ち向かわなければならない。

つまりは、夜が来て、朝が来る、
そんな当たり前のループに対する葛藤、
すなわち、アカネジレンマなのである。

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アカネジレンマの作品は、群像劇である。
どこにでもある場所に、等身大の人々がつどい、日常を淡々と過ごす。
特別な事件がおこるわけではないが、
スパイス的に仕掛けられた不条理や、鍵を握る人物が登場しない手法など、
物語の随所に、斜め上から覗き込むような作者の視線がちりばめられている。
そして、作者が描く日常の中には、
登場人物たちのまっすぐには伝えられないメッセージが隠されている。
個人的だからこそ共感できるメッセージ。心のぬくもりがそこにはある。

人はみな孤児である。時に孤独を愛し、またあるときは誰かを求める。
そんな、日常生活の中でふとした瞬間にしか気付けない 一期一会 を描く。
小劇場でなければ伝えられない温度にアカネジレンマはこだわっている。

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